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「夜間飛行」といってもサン・テグジュペリの作品ではない。 私がずいぶん前から愛読している長野まゆみさんの作品だ。 世界としては宮沢賢治と共通している。どちらも本当に存在するのでは、と思わせる異世界を描く。 内容はファンタジー。ただのファンタジーでは私ははまらない。ところどころに出てくる食べ物の表現が大好きなのだ。現実には存在しないデザートなどが出てくるのだけど、味まで思い浮かぶ。そして主役になるのはちょっと大人びた少年達。 話の中に「タンポポのリキュール」がでてくる。ここで思いだすのはレイ・ブラッドベリの「たんぽぽのお酒」。小学生の頃にたんぽぽのお酒をつくるくだりを読み、実際にたんぽぽを集めて花びらをつぶし、黄色い水を作って一升瓶に詰めたことがある。もちろんお酒にはなってないけど。 十代の頃に、ファンタジーの世界に大はまりしたのでその筋の作家や画家にはだいぶ詳しくなった。 幻想世界を描くイラストのなかでたむらしげる氏の絵はシンプルなのに見飽きない。ブロードキャスターのオープニングの映像がたむら氏のものだ。グラッシーオーシャンから顔をだす「くじらの跳躍」は壮大なイメージに引き込まれる。 「夜間飛行」の中のとてもそそられる飲み物を紹介しよう。 「カーランツ(西洋すぐり)の特製ジュウス」 ・・・ルビィグラス庭園で摘んだばかりの真紅い果実を極上のフラノで漉したもの。 流星の氷をつめた透きとおるクリスタルグラスにそそいで、乾杯!
by nameko_room
| 2005-07-12 20:48
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